「太陽と月」
昔むかし、まだ世界がまっくらなとき、唯一光り輝いていたものがありました
それは”太陽”でした
太陽は、まっくらで何もない世界の星達に光を配ってまわっていました
あるとき、星の一つがいいました
「あっちの方から、もうずっとすすり泣くような泣き声が聞こえてくるんだ」
太陽は気になったので、そっちに行ってみることにしました
すすり泣きが近くなってくると、そこは他のところと同じように真っ暗でしたが、別の場所のようでした
そこは”空”というところでした
太陽はそこで、泣き声の主を見つけました
それもまた、星でした
太陽は尋ねました
「ねえ、どうして泣いているの?」
するとその星はいいました
「だって、ここはずっと真っ暗で、誰もいなくて一人だし、寂しくて」
「何だ!そんなことだったんだね!それなら、僕の光を君にわけてあげるよ」
太陽はそういい、光をその星にわけてあげました
星は少し驚いた様でしたが、突然明るくなった空にとても喜びました
そして太陽はいいました
「これからは僕が君と一緒にいてあげるからね。君はもう一人じゃないよ」
そして太陽は、その名前の無かった星に”月”と名付けました
それから二人はずっと一緒でした。毎日空からいろんなものを見たり、他の小さな星達と遊んだりしました
月はもう一人じゃありませんでした。太陽もまた、毎日月といれて幸せでした
しかし、その幸せもあまり長くは続きませんでした
あるとき、空の下に不思議な生き物が生まれました
それは”ニンゲン”というものでした
ニンゲンは火を使うことを覚え、いろんなところでたくさんそれを使っていました
そのころから、太陽の様子がすこし、おかしくなりました
ある日、太陽はいつものように月と遊ぼうと、月を探していました
しかしいくら月の名前を呼んでも、どこにも月は見当たりません
それどころか、他の小さな星達すらいません
太陽は悲しくなりました
今までずっと一緒だった月が、突然自分の前から姿を消したのです
太陽は諦めずに探し続けました
しかしやはり、どこにもいませんでした
それでも太陽は探しました
いったいどこに行ってしまったのだろう
そう不安に思いながらも、必死にいなくなってしまった月を探し続けました
しかし、それは違ったのです
「太陽!太陽!」
それは月でした
月は、太陽が月を探している間、後ろでずっと太陽の名前を呼び続けていたのです
「太陽!どうしてこっちを向いてくれないの?ぼくのことが嫌いになったの?」
それでも太陽は月の方を見ません。それどころかずっと月を探し続けています
太陽には、月が見えていないのです
ニンゲンが、火をたくさん使ったせいで、太陽は今まで以上に明るくなってしまったのです
太陽は明るくなりすぎてしまいました
自分の光で他の星達どころか、月でさえ見えなくなってしまうほどに
だから月がどんなに呼びかけても、太陽の光で消えてしまうのです
「月!どこだよー!隠れてないでまた遊ぼうよー!」
「太陽!ぼくはここだよ!ねえ、気づいて、お願い!」
「月ー!何か怒ってるのー?でてきてよー」
「違うよ太陽・・・ちがう・・・」
「おーい!月ー!」
「太陽・・・
ぼくは・・・」
”ぼくは、ここにいるよ”
月の声はもう、太陽には届きませんでした
太陽は一日中月を探しまわって疲れたので、その日は沈んでしましました
それから太陽は空に来ては月を探し、疲れたら沈むという行動を繰り返すようになりました
太陽は、また月に会えることを信じて探し続けます
月は、また太陽が気づいてくれるのを信じて空で待ち続けます
また二人で遊べる日を
「太陽と月」おわり